ポルフィリンは18π電子系の複素環化合物であり、生体内でもヘモグロビンやミオグロビンの活性中心に鉄錯体として存在する。ポルフィリンの特徴として、可視領域に強い吸収を示すこと、酸化還元活性であること、ジアニオン性大環状配位子として様々な金属イオンと錯形成すること、などが挙げられる。通常のポルフィリン分子は、その拡張されたπ共役系のため、平面型構造を示す。
当研究室では、周辺部にベンゼン環を12個導入したドデカフェニルポルフィリン(H2DPP)とその誘導体について研究している。DPP誘導体はフェニル基間の立体反発によってサドル型に歪んだ構造をとっている。そのサドル型に歪んだ構造に由来する以下の特徴を活かして、ポルフィリンの新しい機能開発に取り組んでいる。
(1)金属錯体を形成した場合、中心金属のルイス酸性が通常の平面性ポルフィリン錯体に比べて向上し、
より強い軸配位が可能となる。
(2)ピロールの非共有電子対と中心金属の相互作用が弱まるため、ポルフィリン環の酸化電位が低下し、
電子移動における電子供与性が向上する。
(3)ジプロトン化ポルフィリンジカチオンが容易かつ安定に形成され、酸化還元電位の上昇により、
電子受容体としての機能を発現する。
(4)ジプロトン化体における強い水素結合を利用して、安定な超分子構造を構築できる。
ポルフィリンの構造とひずみ構造
<研究テーマ2>
サドル型ポルフィリンを基盤とする超分子形成と機能開発
ポルフィリンは18π電子系の複素環化合物であり、生体内でもヘモグロビンやミオグロビンの活性中心に鉄錯体として存在する。ポルフィリンの特徴として、可視領域に強い吸収を示すこと、酸化還元活性であること、ジアニオン性大環状配位子として様々な金属イオンと錯形成すること、などが挙げられる。通常のポルフィリン分子は、その拡張されたπ共役系のため、平面型構造を示す。
(3)プロトン化ポルフィリンを基盤とする超分子構築と光誘起電子移動